【駅エリアレポート】阪急西宮北口駅エリアの価値を調査しました その3【大畑町・能登町編】
阪急西宮北口駅エリアの価値を分析するレポートのシリーズ第3弾。
今回は、前回の第二弾の続きである西宮北口エリアの地価公示価格の分析を行っています。
もし、まだチェックをされていない人は以下の第一弾・第二弾からそれぞれチェックするとスムーズに理解できるでしょう。
もちろん、本記事から読み進めても把握ように構成しているので、このまま読み進んで頂いても構いません。
では、早速、阪急西宮北口駅エリアの分析を行いましょう。なお、第二弾と同じく本レポートの根拠となる出展は国土交通省地価公示によります。
兵庫県西宮市大畑町58番3の鑑定評価書(西宮北口、 800m)
まずは、西宮市大畑町58番3(地番)を調査しましょう。
ちなみに、この場所は「プレミスト西宮北口ザ・レジデンス」(リンク先:本サイトまとめページ)などの新築マンションが近くにある場所ですので、実際に「プレミスト西宮北口ザ・レジデンス」の購入検討をしている人はこの鑑定評価書のレポートだけでもしっかりと読み解きたいですね。
ちなみに、住所表示では以下の場所となります。「大畑町4-10」実際に場所を確認しましょう。
現地の用途地域は「第一種中高層住居専用地域」となっており、戸建てもありますが、「中規模の一般住宅が多い住宅地域」と言えます。
では、この地域における過去の公示価格の推移を見てみましょう。
平成28年1月1日:297,000(円/m²)
平成27年1月1日:288,000(円/m²)
平成26年1月1日:281,000(円/m²)
平成25年1月1日:275,000(円/m²)
平成24年1月1日:273,000(円/m²)
平成23年1月1日:273,000(円/m²)
平成22年1月1日:276,000(円/m²)
平成21年1月1日:293,000(円/m²)
平成20年1月1日:295,000(円/m²)
このような推移となっています。
これでは、イメージが湧きにくいのでグラフにしてみましたので、ご覧ください。
このグラフは一般的なグラフの形式となり、リーションショックのあった平成20年から下落して平成22年にかけて下がりましたが、アベノミクスによって平成26年から上がっていく形です。
第2弾で解説を行った西宮北口駅のすぐ近くである「南昭和町」とは異なるグラフであることがわかります。
西宮ガーデンズ開業による人気は「南昭和町」だけでなく、今回の「大畑町」も享受できるはずですが、このように地価公示価格の推移が異なる事から、将来の価格変化においても異なる動きとなる可能性があります。
例えば、景気が悪くなった場合、駅から近い「南昭和町」は価値が減価しにくいが、徒歩10分ほど離れてしまう場所である「大畑町」になると減価してしまう可能性があると考えられます。
もちろん、他の地域と比べると西宮北口の場合、人気エリアなので減価しにくいとは言えるでしょう。
不動産鑑定士による当該地域のコメント:
では、国土交通省による「鑑定評価書」によって平成28年1月時点の不動産鑑定士による当該地域のコメントをご覧ください。
不動産鑑定士である桑名 玉樹氏のコメントとなります。
地域要因の将来予測
戸建住宅を中心とする低層住宅地域で、当面現状を維持して推移するものと予測される。最寄駅周辺の住宅地の人気から、住宅地需要は堅調で、地価はやや上昇している。
同一需給圏は阪急電鉄神戸線、今津線、JR東海道本線沿線の住宅地域である。需要者の中心は当市及び隣接市の居住者である。当地域の戸建や共同住宅への需要は、政府景気浮揚策の効果もあって堅調である。画地規模により総額が異なるため、中心となる価格帯を把握し難いが、土地については標準地の規模で7000万円程度であり、土地50坪で5000万円程度、土地40坪程度の建売住宅で5000~6000万円程度が需要の中心である。
比準価格は、土地等の売買の結果を直接的に反映しており、実証性が高い。収益価格は、建物・空室率・賃料・還元利
回り等が想定要素であり、流動的である。さらに、賃貸市場が充実していなければ収益性は低い。また、一般的に住宅
地においては、収益性よりも居住の快適性等を重視して価格形成がなされるものと思料する。したがって、比準価格を
重視し、収益価格は参考にするに止め、鑑定評価額を上記の通り決定した。
[一般的要因]西宮市は利便性・住環境に優れ、選好性が高く、住宅地需要は堅調であるが 、郊外等は弱含み乃至は下落傾向にある。
[地域要因]西宮北口駅から徒歩圏内で、交通の利便性に優れているほか付近にショッピングセンターもあり、需要は堅調で地価はやや上昇している。
それでは、不動産鑑定士によるコメントを補足解説を行うと、以下の点が挙げられます。
- 西宮北口駅は人気の高い地域であると判断されており、地価は堅調で上昇傾向となっている。
- 一方で、西宮市全体では、住宅地需要は堅調ではあるものの、郊外などは既に下落傾向となっている。
西宮市自体は人気ではあるものの、郊外では下落傾向となっているが、西宮北口駅はさらに人気で特別なため、価値が情報していると言えるでしょう。
つまり、西宮北口駅周辺の不動産を買う時にポイントとして言えるのは「西宮北口駅の人気のパワーが届く場所にしよう」ということです。もちろん、駅前は西宮北口駅の人気に連動するのは分かりきっています。具体的にどこまでの範囲であればその人気によるメリットを享受できるのかがポイントと言えます。
では、次に171号線よりも北側の鑑定評価書や地価公示価格を見てみましょう。
色々な地点の価値レポートを確認するのは大変ですが、西宮北口駅周辺の色々な地点の価値を知ることによって、頭の中でイメージが描け、比較ができるようになります。
兵庫県西宮市能登町23番1外の鑑定評価書(門戸厄神、 1,100m)
次に国道171号線よりも北側、西宮北口駅よりも門戸厄神駅に近い場所となっています。
では、地図で確認をしましょう。
今回、調査する土地は「標準地番号西宮-77」となっており、住居表示では「能登町12-6」の位置にあるため、国道171号線よりも北側になっています。
用途地域は「第二種中高層住居専用地域」となっており、当地は木造2階建の戸建てとなっています。
では、この地域における過去の公示価格の推移を見てみましょう。
平成28年1月1日:250,000(円/m²)
平成27年1月1日:246,000(円/m²)
平成26年1月1日:242,000(円/m²)
平成25年1月1日:237,000(円/m²)
平成24年1月1日:236,000(円/m²)
平成23年1月1日:236,000(円/m²)
平成22年1月1日:239,000(円/m²)
平成21年1月1日:254,000(円/m²)
平成20年1月1日:256,000(円/m²)
それでは、次にこの推移のグラフをご覧ください。
上記で取り上げた「大畑町」とほぼ同じ動きをしていることがわかります。
ただし、「大畑町」と比べると価格面では2割弱ほどの価格差が開いていることがわかります。
「大畑町」:最高値297,000円/最低値273,000円
「能登町」:最高値256,000円/最低値236,000円
不動産鑑定士による当該地域のコメント:
では、「大畑町」と同じく平成28年1月時点の不動産鑑定士による当該地域のコメントをご覧ください。
不動産鑑定士も「大畑町」と同じ桑名 玉樹氏のコメントとなりますので、比較がしやすいでしょう。
地域要因の将来予測
一般戸建住宅地域として熟成しており、地域要因の変動は認められず、当面は現状維持と予測する。地価水準は 、強含みないしはやや上昇傾向で推移していくものと予測する。
対象標準地は、西宮ガーデンズに代表される商業地域ならびに高級感のある住宅地域の周辺に位置する。同一需給圏は 、阪急神戸線、今津線沿線の標準的な住宅地域である。需要者には、西宮市内の居住者のみならず、他市からの転入も見られる。市場の中心価格帯は、画地規模により総額にばらつきがあるが、土地総額4,000万円~4,500万円 、区画が細分化された新築戸建住宅で4,500万円~5,000万円程度である。
比準価格は、土地等の売買の結果を直接的に反映しており、実証性が高い。また、対象標準地は地積が小さく経済合理
的な賃貸住宅の建設ができないため、収益還元法は適用できなかった。よって、比準価格のみの試算となったが、代表
標準地の価格との検討を踏まえて、鑑定評価額を上記のとおり決定した。
[一般的要因][地域要因]西宮市は居住環境が良好で人口の流入が続いている。市街地における住宅地 の需要は多く、地価は郊外等を除いて上昇ないしは上昇傾向にある。
地域要因の大きな変動は認めらない。政府経済対策等の影響で、地価はやや上昇ないしは強含みで推移している。
それでは、不動産鑑定士によるコメントを補足を行いましょう。
特に「大畑町」と比較してみると色々な気づきを得られます。
まず、最初にポイントとして挙げたいのは「西宮ガーデンズに代表される商業地域ならびに高級感のある住宅地域の周辺に位置する」という点でしょう。
この一文だけでもこの周辺でも西宮北口駅の良い影響を受けている地域といえます。
次にポイントと言えるのは「土地総額4,000万円~4,500万円 、区画が細分化された新築戸建住宅で4,500万円~5,000万円程度である。」という点です。
純粋に比較できませんが改めて「大畑町」の同様のコメントを引用してみましょう。
「土地については標準地の規模で7000万円程度であり、土地50坪で5000万円程度、土地40坪程度の建売住宅で5000~6000万円程度が需要の中心である。」
また、それぞれの標準地を見てみましょう。
「大畑町」標準地の定義としては「間口 約 15 m、 奥行 約 16 m、 規模 240 m²程度、 形状 ほぼ正方形」
一方で「能登町」の標準地の定義としては「間口 約 12 m、 奥行 約 14.5 m、 規模 175 m²程度、 形状 長方形」
と鑑定評価書では記載されています。
このことからは「大畑町」の方が1区画の土地が広く、一方で「能登町」の方が狭くなっています。
そして、単価当たりの価格も「大畑町」の方が高いことが言えます。
これらの点から「大畑町」の方が1戸当たりの面積が広い家が多く単価も高いと言えるでしょう。
最後に
今回は西宮北口駅の価値レポート第三弾として「大畑町・能登町」の調査を行いました。
西宮北口駅周辺は人気も高く、注目度も高いため、引き続き他の西宮北口駅の地点もレポートしていきます。