【ニュースを斬る!】急にマンション内に「児童相談所」が設置!? 大阪で起きているトラブルに迫る

大阪市北区にあるマンション「Zenith Osaka(ジーニス大阪)」であるトラブルが起きています。
そのトラブルとは、総戸数360戸のマンションであるジーニス大阪の中に「児童相談所」が設立される計画が立てられたのです。

その計画に反対しているのが、そのマンションの住民の方です。

マンション住民では『セキュリティ面に不安がある』や『虐待で保護した子供を取り返しに来るなどのトラブルが起こる可能性がある」などの不安の声が上がっており、実際に「児童相談所」の設立反対の署名を行っています。

確かに「児童相談所」はそこまで好まれる施設ではありませんが、住民の反対運動が起きるほどの事のなのか?実際に調べてみました。

当初は「高齢者向け施設」の予定だった

まず、最も重要なことは反対運動が起きているマンション「Zenith Osaka(ジーニス大阪)」に設置される施設は当初は「高齢者向け」の文化施設が運営されていく予定でした。

それが、事業仕分けによって廃止となり、次の施設が決まらないままになっていました。

実際に今も現地ではいきいきエイジングセンターの「のぼり」が上がっていますが、運営は終了しています。

当初の高齢者施設「いきいきエイジングセンター」

当初の高齢者施設「いきいきエイジングセンター」

2年以上も次の施設が決まらなかった

エイジングセンターは平成26年3月末に事業を終了していますので、現時点(平成28年9月)でも2年以上次の施設が決まっていなかったということになります。

そのような状況の中、かねてより大阪市では児童相談所の数が1カ所のみとなっており、相談件数が平成20年比で2倍に増えていることから、増設が求められていたため児童相談所として利用する計画が立てられたのです。

そして、当初は「高齢者向け」の文化施設の予定が児童相談所になるということで、当初と話が大きく異なるのではないか。ということでマンションの住民の方が反対して、トラブルになっています。

法律の観点ではどうなのか?

反対運動をしているマンションの住民にとっては、少し残念ですが、法律の観点では児童相談所を設置することには問題がないと言えそうです。

ここでの法律とは、都市計画法や用途地域(当サイト用語集へリンク)のことですが、基本的にそれぞれの場所によって建築できる施設に制限がかけられている法律があります。

例えば、「工場はこのエリアには建てられない」や「カラオケボックスはこのエリアには建てられない」など細かく制限が決まっているのです。

その中で、最も制限が厳しくマンションですら建築できないほどのエリア(=住環境が守られているエリアとも言える)である「第一種低層住居専用地域」であっても、児童相談所は建築できると規定されています。(児童厚生施設その他これらに類するもので延べ面積が 600 m²以内に該当)

反対運動が意味がないわけではない。

しかし、法律で建築することができると規定されているからといって、反対運動が意味がないわけではありません。

特に今回の経緯では、事業仕分けなど政治の責任ではありますが、当初予定されていた「高齢者向け」の文化施設から児童相談所になるということで、話が変わっています。

もし、当初から「児童相談所が近くにできる」ということが決まっているのであればそのマンションを購入しなかった。という人もいるかもしれません。

まずは、そういった思いをしている人がいるということを表明する上でも、反対運動は意味はあると言えるでしょう。

また、児童相談所の利用者の立場としても、新たに新設する児童相談所に対して周辺住民が反対していると安心して児童相談所を利用できるでしょうか。

やはり、大阪市側がしっかりと住民への説明し、理解を求めることが非常に重要といえるでしょう。

マンションと施設の入り口は異なる

そして、最後に今回の「Zenith Osaka(ジーニス大阪)」の児童相談所について、詳しく現地を見てみましょう。

Zenith Osaka(ジーニス大阪)の案内図

Zenith Osaka(ジーニス大阪)の案内図

Zenith Osaka(ジーニス大阪)は総戸数360戸の大規模なマンションですが、住居スペースだけでなく主に1階部分には飲食店や美容室などのテナントが入居してあります。

また、マンション住民用の入り口と「いきいきエイジングセンター」の入り口とが分かれています。

マンション住民用の入り口

マンション住民用の入り口

マンション住民用の入り口

マンション住民用の入り口

こちらは「いきいきエイジングセンター」の入り口となっています。

「いきいきエイジングセンター」入り口

「いきいきエイジングセンター」入り口

「いきいきエイジングセンター」入り口

「いきいきエイジングセンター」入り口

完全にマンションと施設の入り口が分かれているのは今回の「Zenith Osaka(ジーニス大阪)」の件においては大きなポイントと言えるかもしれません。

市の担当者から「入り口が分かれているので、セキュリティ面では担保されている。また、当初からテナントが設置されるマンションのため不特定多数の出入りは一定見込まれていたため、新たに児童相談所の設置における影響は限定的」と言われかねません。

その点では、反対運動の住民としては、入り口が分かれている点やテナントの話に対して実際の想定される影響をできる限り具体的に算出すること、そして住民間で何を求めるのかの意思を統一することが大事なのだと言えます。

最後に

今回の「Zenith Osaka(ジーニス大阪)」のようなマンション住民による新設周辺施設に対する反対運動はこれからも別の場所でも起きてくるでしょう。

当サイトとしては、今後もどうしても情報量が少なくなりがちなマンション住民側が安心して暮らしていくことができる情報を発信していきます。