【検証】ガスタンクが近い場所って実際どうなの?【周辺施設シリーズ】
マンション探偵の「周辺施設シリーズ」は近くにある施設や環境を取り上げ、安全性やメリットとデメリットを分析するコーナーとなっています。
そんなシリーズ、今回はガスタンクを取り上げます。業界の名称としてはガスタンクではなく「ガスホルダー」と呼称するようですが、一般的な認知度が低いことからこの記事のタイトルでは「ガスタンク」と記載をしました。本文では引用元の資料で「ガスホルダー」と記載されている資料が多いため、「ガスホルダー」と記載をします。
それでは、早速確認しましょう。
そもそも、なぜ街中にあるの?
「そもそもガスホルダーが街中ではなく、もっと人が少ない場所に設置したらいいのに…」
つい、ガスホルダーが気になりだすと誰もがそのように考えるのは自然な流れでしょう。
ですがそれはガス会社も同じ。
そもそも、街中の方が土地の価格も高いので、ガス会社としては「できる事ならば、土地の価格の安い人の少ない僻地に置きたい」と考えるのが自然です。
ですが、現実的に街中にあるのには理由があります。
その理由は、大阪ガスのホームページの図を見てみましょう。

引用:大阪ガスホームページ「知ってるコーナー」
これだけで、十分に説明されているように思いますが、ガスを使わない時間帯に一時的にガスを貯めて、多く使うときにすぐにガスを送れるように調整する役割がガスホルダーになっています。
つまり、「ガスを消費する場所=街中」に近くないと「ガスを使いたいときにすぐにガスが使えない」となってしまいかねないのです。
震度7の地震でも耐えられる設計
上記の大阪ガスのガスホルダーに関する図にも記載されていますが、ガスホルダーは震度7の地震にも耐えられるようになっており、高い安全性が確保されています。
特にこのような周辺の環境に影響を及ぼす恐れのある施設の場合、通常の強度よりも何重にも厳しく対策が取られており、安全な設計と言えるでしょう。
ちなみに、ガスホルダーの話から離れますが、震度は「震度0」から「震度7」までの10段階となっており、最高が「震度7」となっています。
たまにテレビのコメンテーターも間違えていますが「震度8」や「震度9」は絶対に有り得ませんので、ご注意ください。
ですので「震度7」に耐えられる設計というのは、「震度8」や「震度9」が来たら危険という訳ではなく、最大の揺れに耐えられる設計にしているという意味です。
(ちなみに、完全に余談ですが「マグニチュード」は8や9も有り得ますので、混同しないようにしましょう)
でも、過去に事故や火災は起きていないの?
「震度7」に耐えられるように設計してあるから大丈夫。と言われても、不安に思う人もいるでしょう。
そこで、過去の実際の事故や災害のデータを調べてみました。
まず、阪神淡路大震災ではガスホルダーの事故は一切なかったと明言されています。
引用:東京ガス ガスホルダー【ガスタンク】「阪神・淡路大震災では、激震地区にもガスホルダーはありましたが、まったく被害はありませんでした。」
次に東日本大震災では、千葉県市原市のコスモ石油千葉製油所にて「液化石油ガスタンクの爆発・火災事故」が起きています。
引用:コスモエネルギーホールディングス「千葉製油所の火災・爆発事故について」
「事故が起きてるじゃないか!不安だ」と思われた方もいらっしゃるでしょう。
ですが、この事故が起きた「ガスタンク」と住宅街の近くに有る「ガスホルダー」は全く別のものです。
詳しくは以下の画像をみてください。

都市ガスとLPGの比較(元:日本ガス協会 追記:マンション探偵)
日常用語としての「ガスタンク」と専門用語としての「ガスホルダー」が同じ意味のため、どうしても混同しがちです。
上の画像のように、事故が起きたのはLPガスのガスタンクであり、住宅街の近くに有る緑色の球体は「ガスホルダー」という全く別のものであるという点に注意しましょう。
都市ガスとLPGは重さが違う
また、都市ガスの安全性という観点では、重さという点も非常に重要と言えます。
つまり、「都市ガスは空気より軽い」そして「LPGは空気より重い」という違いがあります。(参考:東京ガス「プロパンガス」)
ガスの爆発事故は火種とガスが合わさることによって爆発しますが、都市ガスの場合空気より軽いので、万が一に漏れたとしてもすぐに拡散されていくのです。
そして、基本的には火種は地面にあるはずで、上空にはないでしょうから、都市ガスに引火して爆発ということは考えにくいと言えるでしょう。
最後に
ガスホルダーの記事については、いかがでしたでしょうか。
基本的に安全性の確保という観点は十分になされていることが、イメージできれば幸いです。
この記事を見て、安心した。という人もいれば、この記事を見てもまだ不安という人もいるでしょう。
基本的にガスホルダーは社会的に必要なものありますし、必要とされる安全性は確保されていると言えるでしょう。
それでもどうしても心配ということであれば、避けるのも一つの手かもしれません。
ただ、ガスホルダーの安全性という意味では「想定される対策はしっかりとなされている」と言えるでしょう。