【マンションを購入する前に知っておきたい】マンション管理組合とは何?

「マンション管理組合は定期的に総会が行われていて、マンションの管理について話し合いで決めるところ。そこで決めたことはマンションの管理会社に任せておけば管理をしてくれる。」

もし、貴方がそんな印象を持っているのであればちょっと待ってください。

実は「マンションの管理にはマンションごとに良し悪しがあり、その良し悪しでマンションの価値に大きな差が生まれてしまう」としたら、どうでしょうか。

意外に思ったかもしれません。マンション毎の管理に良し悪しがあるとは考えたこともない人も多いので当然と言えば当然です。

とはいえ、実際にはマンションの管理委託費が相場よりも高く無駄遣いを行ったり、適切な修繕積立金が計画通りに積み立てられないケースだとそのマンションの価値が下がってしまうのです。

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ということで、この記事ではマンション管理組合について【マンションを購入する前に知っておきたい】基本的な点の解説を行います。

マンションを購入する時には、色々と考えないといけないことは山積みですので、マンションの管理まで考えようとすると大変ではありますが、少しでも事前に「マンション管理」について知っておくことで、購入するマンションの資産価値の維持に役立つはずです。

そもそも、管理組合ってなに?

まず、早速マンション管理について解説をする前にそもそもマンション管理組合とはどのようなものなのか、一度振り返っておきましょう。

今までにマンションに住まれたことがある人は何となくイメージは持てているでしょうが、今までが一戸建てや賃貸だけだと「マンション管理組合」のことについてイメージがつかない人も多いので、改めてその意味を確認しておきます。

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マンション管理組合とはマンションの所有者(区分所有者と言います)が集まって、マンションの利用の仕方や管理方針などを決める集まりの事です。

ここで注意をしておいて欲しいのがマンション管理「組合」とマンション管理「会社」は全くの別物ということです。

マンション管理「組合」はマンションの所有者の集まりであるのに対してマンション管理「会社」とはマンション管理「組合」から日々の業務を発注された業者となります。

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初めてマンションに住もうとする人の場合「管理組合」と「管理会社」がごっちゃ混ぜになってしまうので、注意してください。

基本的なことのようですが、ここをしっかりと押さえておいてください。

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そして、上記で説明した管理組合は、マンションの所有者が引き渡しを終えるとその管理組合の一員となります。

その上で管理組合の中で「理事」を選びます。

理事とはマンション所有者の代表者の集まりで、

理事の人数はマンションの所有者の人数などによって変えることができます。

ちなみに、この理事の定義は管理組合の規定で定めることができますので、任期を2年で輪番制にすることもできますし、任期を決めずに随時決定することもできます。

(参考:ここまでのマンション管理についての説明・解説の内容を既に知っているという人へ)

上記の説明は、マンション管理について知っている人には当たり前のことに感じることかもしれません。

ですが、実は意外とこのマンション管理についても知らない人が多いのです。

また、居住用の分譲マンションを購入する人は人生で初めてマンションを購入する人(俗に1次取得者と言われます)が多いというのも、その理由の一つかもしれません。

このように同じマンションに住んでいる所有者であってもマンション管理についての知識の差があるので、管理組合の運営が難しいと言えるのです。さらには知識の差だけでなく管理への興味も人それぞれということが、とても難しい要因なのです。

要は一つのことを決めるだけでも、マンションの所有者ごとのコンセンサス(同意)を得ることがとても難しいということですね。

管理会社や管理費の金額はどうなってる?

では、次に管理会社の選定や管理費の金額について、解説をしていきましょう。

まず、管理会社ですが一般的には新築マンションを契約した時に既に管理会社が決まっているはずです。

一般的にはディベロッパーの関連会社であったり、よく使っている管理会社が最初から決まっているケースが大半です。

そして、管理費の金額や管理の項目も最初から決まっているのです。

このようにマンション管理に関しては、「業者の選定」だけでなく「管理費」「管理の項目」も最初から決まっていますので、競争原理の機会が少なく、そのことに”あぐら”をかいている業者であれば管理費は当然、割高になってしまうと言えます。

もちろん、全ての業者が割高になっているわけではありませんし、当初の管理会社のメリットもあります。

例えば、当初からのマンションの管理会社はディベロッパーが選定した場合、建物の設計のコンセプトなども理解している場合にはコンセプトに沿った管理ができますので、その点はメリットとも言える為、当初から契約している管理会社の全てが悪いわけではありません。

結局のところは個別のマンション毎にその管理費などが適切なのかを見ていく必要があります。

とは言っても細かな点のチェックはマンションが建てられる前であれば、確認のしようがありません。

ということで、その目安となる管理費の金額を確認していきましょう。

管理費の目安は1㎡=200円くらい

マンションの管理費のざっくりと目安を言えば1㎡あたり200円が目安と言えるでしょう。

以下のデータは国土交通省のデータとなっていますが、そのデータでも1㎡あたり京阪神エリアだと192円となっています。

(出典:国土交通省「平成25年度マンション総合調査」より 管理費については162ページ以降)

管理費(㎡単価) 管理費(1戸あたり)
近畿圏 189円 14,636円
京阪神エリアのみ 192円 14,756円

ちなみに、管理費については「戸数が少ない小規模なマンション」と「階数の大きいタワーマンション」がどうしても、管理費が高くなってしまう傾向にあります。

「戸数が少ない小規模なマンション」は清掃などの人件費とエレベーターなどの保守費用などがほぼ固定費的に発生してしまうのですが、それをあん分できる人数が少ないため、割高になってしまうのです。

一方で「階数の大きいタワーマンション」だとエレベーターも高層ビル専用のエレベーターとなり、メンテナンス費用が高額になってしまうというケースがあるのです。

ただ、上記の数値は結局のところは目安ですので、この数値よりも高いからダメ。安いからOKという単純なものではないということは意識しておきましょう。

 

また、水を使った設備が多いマンションだと管理費が高くなりやすいということも。

最近の分譲マンションだと大規模に水を使ったもの(プールや浴場)は少なくなっているので、そこまで意識をする必要はないかもしれません。

また、共用部にちょっとした噴水などを儲けているケースはありますが、その程度であれば全体の管理費にそこまで影響はありません。

では、次に修繕積立金についてチェックしてみましょう。

修繕積立金の金額や修繕計画はどうなってる?

修繕積立金のポイントを確認する前に、まずは基本的な事項をおさらいしておきましょう。

そもそもマンションには毎月「管理費」と「修繕積立金」を支払わなければなりませんが、それぞれは全く別のものになります。

「管理費」は共用部の電気代や清掃員の人件費・コンシェルジュがいる場合にはその費用など、結局のところは消えてしまうお金が管理費になるのです。

一方で「修繕積立金」は将来の大規模な修繕のために積み立てておく貯金ようなものです。

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ということは、修繕積立金の金額は「割高なのか」で判断をするのではなく、将来の修繕の計画がどのくらいの修繕を計画をされているのか、そして、修繕積立金が将来的に上がるのか、上がるとすればどのくらい上がるのかをチェックしておきたいところです。

今後30年間の修繕計画はあるか

まず、基本的なチェック項目として今後、30年間の修繕計画はあるのか。この点をチェックしたい。

30年の根拠は国土交通省による長期修繕計画のガイドラインが30年と定められている為です。

ただ、出来れば30年よりも長い35年や40年の計画があればベストと言えます。

と言うのも、30年の計画だと2回目の大規模修繕が計画には入っていますが、その後の管理についてや建て替えなどついては計画が入っていないでしょう。

となると、その後の建て替えをどうするのか、と言う点で揉める可能性もあるのです。

とは言っても、40年以上の計画を新築時に計画しているマンションはほぼありません。

国土交通省もガイドラインで30年で良いと言っているわけですから、30年しか計画がないマンションであってもそれが問題という訳ではありません。

簡単な話でマンションに入居してから、修繕計画を住民同士で作り直していけば良いだけです。

ちなみに、本題から離れますがマンションの修繕計画については、入居してからも定期的に見直すべきです。

出来れば5年程度毎には最低限、見直しておきたい。

修繕積立金の集まり具合や災害などによる予想外の修繕費用。これらを元に計画の見直しなどを行なっていく必要があると言えます。

修繕積立金の目安

修繕積立金については、マンション毎、そしてどんな修繕を行うのかによってその幅は大きく振れてしまうので、一概に言うことは非常に難しいと言えます。

どんな設備があるのか、などによって変わりますので、以下の修繕積立金の目安はあくまで目安であると考えてください。

<専有面積1㎡辺りの修繕積立金の目安 国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」>

5,000㎡未満 218円
5,000㎡〜10,000㎡ 202円
10,000㎡以上 178円
タワーマンション(20階建以上) 206円

ただ、この金額についてもこれよりも高いからダメ。低いから良い。というものではないということだけは意識してください。

将来的に売るつもりのある人は低ければ低いほど良いと言えますが、特に長期で住むことを考えている人は修繕積立金の金額よりはその内容をしっかりと確認してください。

また、修繕積立金はマンションの購入当初は低く設定されているものの、徐々に値段を上げていく設定になっているマンションも多くありますので、当初の価格だけでなく、その後の積立金の金額も確認をしておくことを忘れないでください。

最後に 〜まとめ〜

この記事で解説をしてきたことは管理組合や修繕積立金について、最低限の内容と言えます。

ただ、これらの内容は深く言えば「マンション管理士」という専門の資格があるくらい深い内容であり、一般の所有者がそこまで知っておくというのは現実的ではないと言えます。

しかし、この記事で説明・解説を行なった点だけは把握をしておいて欲しいですね。

その上で、管理費の中身や修繕積立の計画などをしっかりと確認しておきましょう。

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