【節税見直し】ついに来た?タワーマンション高層階への増税を徹底解説 2016年10月時点

以前より「タワーマンション(高層マンション)節税の見直しがあるのではないか?」と散々言われていましたが、今回、ついに高層マンションの高層階の固定資産税の見直し(実質的な増税)が行われる見通しになりました。

まだ、現時点(2016年10月時点)では正式な決定にはなっていませんが、この記事では現時点の最新情報や改めて「なんで高層マンションって節税になるんだっけ?」という事まで徹底解説をします。

では、まずはタワーマンションの節税の仕組みを解説していきましょう。

そもそも、タワーマンションで節税の仕組みとは?

今まで一度は「タワーマンションで節税」と聞いたことがあるのではないでしょうか。

中には本当かどうか気になっている人や怪しいと思っている人も多いでしょう。

ということで、まずはこのタワーマンションの節税の仕組みを解説します。

まずは固定資産税についての基本的な項目を押さえておきましょう。

<固定資産税>

計算方法 課税標準×税率
課税標準 税金を算出するための対価
対象物 土地と建物を区別して計算
税率 1.4%
時期 5月初旬ごろ
誰に 毎年1月1日時点の保有者
減免制度 土地と建物それぞれに減額制度有り

簡単に言えば、マンションの評価を公的機関が土地と建物に分けて算出。その評価額を元に毎年1.4%の税金(別途減額制度有り)が課税されるのが固定資産税となります。

では、次に固定資産税の計算の流れを確認してみましょう。

<固定資産税の計算の流れ>

1:まず課税標準と呼ばれる税金を算出するためのマンションの価値を計算します。

2:課税標準に対して、税額の減免など税金の控除を差し引きます。

3:「2」で計算した金額に対して、固定資産税の税率1.4%を乗じたものが固定資産税になります。

ほとんど、上記固定資産税の説明と同じような流れですね。

そして、ポイントとなるのが「なぜ、タワーマンションが節税になるのか」を解説しましょう。

ここはちょっと、説明が難しいので補足を細かく入れて説明しますね。

<節税になる理由>

まず、タワーマンションが減税になる最大の理由は一人当たりの土地の持分が非常に少なくなるためです。

結局のところ、固定資産税は保有している「土地」と「建物」に対して課税されます。

そして、タワーマンションの場合、階数が多くなるため同じ土地を共有している人が大勢いるということになります。(もう少し簡単にいうと同じ土地があったとして、1戸建なら1世帯が保有しますが、5階建てのマンションだと5世帯で分ける。さらに20階建てだと20世帯が同じ土地を共有していることになります)

このように分ける人数が増え、結果的に一人当たりの土地の割合が減る=税金が安くなるという仕組みなのです。

これだけだと、「税金が安くなるのは確かに嬉しいけど、土地の割合が減るってことは資産価値も減っちゃうんじゃないの?」と不安に思われる人もいるかもしれません。

ですが、結局タワーマンションの価値は土地にあるのではなく「タワーマンションそのもの」にあるので土地の持分が少なかろうが、資産価値には影響しないのです。(マンションを購入するときに階数が多いと土地の持分が少ないということを気にする人は少ないですよね。)

所詮は固定資産税を計算するための計算式上だけが資産価値が減少しているだけで、実際のタワーマンションの取引上の資産価値とは無関係というわけですね(却って固定資産税が安いのですから、その分市場価値としてはプラスにはなっていると言えます)

これで、タワーマンションがどのように節税になるのか、イメージを掴んでもらえたと思います。

では、次に今回、ニュースになっているタワーマンションへの増税について解説をしていきましょう。

タワーマンションの高層階への増税ってどんなものなの?

このタワーマンションの高層階への増税は現在はまだ検討段階ですので、正式なところは決定され次第、本サイトでも解説を行います。

ここでは現在、案の段階で検討されている内容について解説を行なっていきましょう。

まず、現時点で検討されているものは「20階建て以上のタワーマンション」が対象となり「高層階になるほど固定資産税の税額が高くなる」よう見直すようになっています。

一方で「低層階には減税にして、タワーマンション1棟当たりの税額の総額は変わらないようにする」案が検討されているようです。

なぜ、このような案が検討されているのでしょうか。

それは、タワーマンションの場合、上層階になればなるほど価値が高いのが常識となっていました。

実際に新築で購入する際も上層階の方が高く設定されているケースが一般的ですし、中古マンション市場や賃貸においても当然のように上層階の方が価格が高くなります。

しかし、今までの固定資産税は低層階であろうと高層階であろうとほとんど変わらない税額になっていたのです。

そこで、今回の改正案では上層階の固定資産税を増税して、その分を低層階を減税することによって低層と高層階に適正な差を設けようというのが今回の改正案の骨子となります。

本サイトの見解

最後に当サイト、マンション探偵の今回の改正案の影響に対する見解をご説明します。

マンション探偵としては、このタワーマンション(高層マンション)の上層階の増税が実際に決定されれば、タワーマンションの人気にも影響すると考えます。

さらには、固定資産税は毎年課税されるものですので、新規分譲のタワーマンションの人気だけでなく、現在タワーマンションを保有している人にも当然影響が出てきます。

ということは、タワーマンション(高層マンション)の上層階については固定資産税の負担が増えるわけですから、その分は価値が目減りしてしまうでしょう。

一方で「低層階は減税」という可能性があります。もし、そのようになればタワーマンション(高層マンション)の低層階については減税分、価値が上がるとも言えます。

但し、各マスコミなどが報道している通り「低層階には減税にして、タワーマンション1棟当たりの税額の総額は変わらないようにする」のであれば、実際に上記のような影響は出るものの、タワーマンションの減税の価値がなくなるほどまでは大きな影響はないのではないかと当サイトでは考えます。

というのも「マンション1棟での総額の税金が変わらない」という前提であれば、少なくとも土地における固定資産税は持分の割合が上層階と低層階で変わったとしても総額で税金が変わらないのであれば、同じ土地の広さを多くの人で分け合うということには変わりありません。

ということは、結局のところタワーマンションの税金面での有利さが減少するものの、引き続き、タワーマンションが税金面では有利になってくると予想します。

タワーマンションの購入を検討している人にとっては、非常に悩ましい問題と言えるかもしれません。

ですが、実は去年や一昨年にも同じように政府の方針として、タワーマンションの節税策は問題があると散々指摘されていた内容ではあるのです。

そのため、例えば万が一、今回増税にならなくてもいずれ増税の可能性があるわけです。

また、高層マンションの本質として税金の額がマンション1棟で上がらないのであれば、同じ土地の広さを多くの人で分け合うということには変わりなく、今回の増税が可決されたとしてもタワーマンションのメリットはまだまだあると言えるでしょう。