【地震保険】大震災が起きてマンションが損傷したらどうなるの?

【地震保険】大震災が起きてマンションが損傷したらどうなるの?

マンション選びで、皆さん注目しているのが耐震性や免震についてですよね。

でも、実際に地震が起きたらどうなるのか、万が一倒壊したらどうなるのか、までをチェックしている人はかなり少数です。

このマンションは耐震や免震構造になっているので大丈夫。ということで止まっている人が多いのではないでしょうか。

この記事では、そこからさらに調査していき、耐震構造がしっかりしているとはいえ、万が一倒壊したらどうなってしまうのか?をチェックしましょう。

 

 

東日本大震災の時は地震の”揺れによる被害”は少なかった

2011年に発生した東日本大震災において、現在の耐震基準を満たした住宅の倒壊はほぼなかったと言われています。

これはもちろん、津波による倒壊を除いていますので、実際の被害の甚大さは皆さんのご記憶の通りですが、耐震性は阪神淡路大震災を経て向上したと言えるでしょう。

それほど、現在の耐震基準を満たした住宅については人命を守る点において目的を達成できていると考えられ、安全、安心と言えます。

 

 

そもそもの現在の耐震基準とは?

まず、明確にしておかなければならないのは現在の耐震基準の基本的な考えは大地震に対する「新耐震基準」の要求は「倒壊・崩壊せず人命が守られること」であことを第一とした考え方であり、大震災後でも問題なくその建物を使用し続けることを目的としたものではないのです。

その上で、まず現在の耐震基準について本来の目的である「倒壊・崩壊せず人命が守られること」であると言えるのか。

揺れ方の種類や建物の地盤などによっても同じ地域でも異なるため、一概には言えません。

その上で現在の建築基準法の構造計算規定に沿った住宅は、地震による倒壊の心配はほとんど無いといっていいでしょう。

 

東日本大震災での被害状況は?

実際に東日本大震災での被害状況を踏まえ耐震等級と実際の被害状況に因果関係があるかどうかを見てみましょう。

今回の東日本大震災の被害としては東北地方に置いて「大破」(建て替えが必要な致命的被害)が0棟、「中破」(大規模な補強・補修が必要)が44棟(0.09%)、「小破」(タイル剥離・ひび割れ等相当な補修が必要)が1,184棟(2.55%)、「軽微」(外観上はほとんど損傷なし、または極めて軽微)が7,477棟(16.13%)で、「被害なし」は3万7,660棟(81.23%)であった。

ここで、注目したい点としては、昭和46年に建設されている建物であっても、大破している物件がないことから、今回の地震は建物にダメージを与える「キラーパルス」と呼ばれる周期1~2秒の揺れが阪神大震災と比べ5割以下であった為です。

このことから今回の東日本大震災での被害の多くが地震の揺れによる被害が少なかったと言えます。(一方で、津波による被害が甚大であった)

(クリックで拡大します)

東日本大震災の被災状況について(引用:高層住宅管理業協会)

東日本大震災の被災状況について(引用:高層住宅管理業協会

 

 

今のマンションの耐震基準で地震後に住めなくなることはあるの?

上記の耐震基準から、地震による直接の建物へのダメージによって倒壊する恐れはかなり少なくなったと言えます。

しかし、大震災は耐震だけでは防ぎきれない、様々な問題が起きてしまう可能性があります。

例えば、東日本大震災でも実際に被害があった液状化も一つの例ですし、津波による被害も当然その例といえるでしょう。

つまり、「キラーパルス」が強い地震が来たとしても最新のマンションの耐震基準であれば問題は無い。しかし、地震が引き金となり起きてしまう二次災害によって住めなくなってしまう、倒壊してしまう可能性はゼロではありません。

例えば、「キラーパルス」が強い地震が来て、住んでいるマンションの倒壊は免れても隣接する古い建物が倒壊してしまい、その影響を受けてしまうという可能性は色々と考えられてしまうのです。

 

地震保険の有用性

まず、大震災が起きて直接的や二次的に震災の被害を受けたマンションであっても、現在の修復、修繕技術は進んでおり、地震を経てダメージを受けた部分を補修、修繕する技術は飛躍的に進んでいます。

阪神淡路大震災や東日本大震災を経て、その関連する技術がさらに進んだと言えるでしょう。

しかし、問題は技術ではなく、お金です。

そこで、地震保険の出番となります。

地震保険の場合は、被害の状況に応じて最大契約金額の100%〜5%まで広く被害状況に応じて支払われます。

さらには建物だけではなく、家財への被害も支払われるのです。

そして、地震保険において支払う費用も耐震性によって割引の制度があります。

具体的に耐震性能の高いと言われている新築マンションは、一戸建てやアパートと比べて、耐火性や耐震性の面では優れているため、地震保険の保険料は割安に設定されています。

また、被害の審査が厳しくて滅多に保険金が支払われないのでは?と思われる方も多いとおもいます。

以下のデータをご覧ください。

東日本大震災に係る地震保険の支払件数、金額(引用:日本損害保険協会)

東日本大震災に係る地震保険の支払件数、金額(引用:日本損害保険協会

東日本大震災で支払われた金額は1兆2345億円に上るのです。

保険の本質はレバレッジなのですから、大きな震災にも備えるという意味では、地震保険は検討しておきたい保険です。

 

マンションの地震保険の必要性

一部のブログではマンションには地震保険は必要ないと断言しているブログもあります。

人気な個人ブログでもそのように記載しているケースがありますね。リンクはここには載せませんが検索すればすぐに出てくるため、ここでは意見を以下に集約します。

より詳しく地震保険について別の記事で解説をしたいと思いますが、ここでは簡単に解説します。

マンションの地震保険が必要ないという意見は大きく言えば、「地震保険は全壊と半壊な損害にしか対応していないので不要」「地震が起きるとみんな大変だから、そんな時期に住民間の建て替えの同意を得ることはできない」の2つの意見が主な意見のようです。

まず、「地震保険は全壊と半壊な損害にしか対応していないので不要」ですが、地震保険のホームページを見ていただければ答えは出ますが、少ないながらでも一部損でも保険は支払いを受けられます

支払われる保険金の金額(引用:日本損害保険協会)

支払われる保険金の金額(引用:日本損害保険協会

次に「地震が起きるとみんな大変だから、そんな時期に住民間の建て替えの同意を得ることはできない」については、仰る通り大変です。なかなか同意を得ることも難しいのも事実です。

しかし、実際に私は阪神淡路大震災の被害にあった一人として言いますが、復興を行おうと一生懸命に頑張っている被災者は「大変だから」「難しいから」という理由で諦めることはありません。

以下のデータをご覧ください。

 

阪神淡路大震災被害状況(引用:東京カンテイ)

阪神淡路大震災被害状況(引用:東京カンテイ

阪神淡路大震災復興状況(引用:東京カンテイ)

阪神淡路大震災復興状況(引用:東京カンテイ

このデータは地震が起きて約5年が経過し被害を受けた2,532棟の復興状況を示したものです。

5年を経て協議が難航しているものは6件しかありません。比率にするとわずか0.23%という数値です。

今の時点(2016年3月)でも、この元になったブログの記事ではマンションの地震保険は意味不明だから入る必要はないと煽っていますが、私は自身が多い日本において、少しでも耐震性能の優れたマンションに住み、万が一に備えて地震保険にも入る事は悪い判断ではないと思います。もちろん、地震がないことが最も望ましいのですが、地震があり得る日本でのベストではなくベターな選択肢としては間違えていないと考えます。

 

このように、実際のデータに触れずに印象論だけで、不安を煽る個人ブログや掲示板が本当に数多くあります。

口コミはリアルな内容が含まれており、一見すると正しいように思いますがマンションの購入のような人生をも左右する重要なものはプロの意見も合わせて確認して、最終的にはご自身がしっかりと自分で判断することが重要だと思います。