【検証】保育園が近いマンションって騒音とか実際どうなの?【周辺施設シリーズ】
「保育園落ちた日本死ね!」
「子供の声うるさい」開園断念 千葉・市川
この二つのニュースは、本記事を執筆時点の2016年4月に同時に起きているニュースです。
保育園に入れないと政府を批判するニュースが起きながら、新しい保育園は周辺住民の反対によって断念されるという、非常に考えさせる二つのニュースではあります。
しかし、それぞれのニュースについて、論じるのは本サイトの目的ではありませんので、ここでは保育園が近いことによるデメリットがどの程度のものなのかを、検証、レポートをしていきます。
もちろん、保育園が近いことによってそれを利用する人が便利という利点はありますが、ここでは周囲への影響面などデメリットに絞ってレポートします。
特に今回のレポートでは以下の2点をレポートします。
(1)保育園の騒音はどの程度なのか?
(2)保育園が近くにできたことによって、資産価値が減るのか?
それでは、まずは(1)の騒音についてご覧ください。
(1)保育園の騒音はどの程度なのか?
まずは、保育園周辺は実際にどの程度の騒音なのでしょうか?
実際に神戸市東灘区では、保育園の騒音に関する訴訟が一部の周辺住民が行っており、その弁護士によって騒音の測定結果が開示されていますので、そこから引用をします。
このデータは<ツンデレblog>という淡路島の弁護士の方のブログに掲載されておりそちらからデータだけを引用いたしました。
単なる騒音データだけでなく、測定方法なども開示されています。
元データが画像で掲載されており、解像度が荒いためもしかしたら、当サイトで読み間違いをしているかもしれませんので、以下のリンクより元データ先もご確認ください。
<保育園の北側敷地境界地点での測定 (引用:ツンデレblog 保育園騒音訴訟:騒音測定しました。)>
等値騒音レベル | 最大値 | |
保育園からの騒音がない時間帯 | 55.1dB | 63.1dB |
園児が園庭にいない時間帯 | 54.9dB | 62.7dB |
園児が園庭で遊んでいる時間帯 | 70.7dB | 85.89dB |
騒音の場合、最大値の中に異常値が入る可能性もあることから、考慮しないといけませんが上記データでは「等値騒音レベル」も同様に上がっていることや騒音がない時間帯と園児がいない時間帯、園児が遊んでいる時間帯で測定しているため精度高いデータであると言えるでしょう。
そして、測定結果ですがある意味当然ではありますが「園児が園庭で遊んでいる時間帯」の騒音が最も高く「70.7dB」となり、最大値では「85.89dB」となっています。
この数値だけを見てもイメージがしにくいため、「環境省」もデータを引用している「全国環境研協議会 騒音小委員会」(リンク先PDF)のデータを引用します。

騒音の目安(引用:環境省)
このデータによると「園児が園庭で遊んでいる時間帯」は常に「蝉の声」や「主要幹線道路周辺」「在来鉄道の車内」の音が発生しており、最大値で「ゲームセンター店内」くらいの音が急にくるようなものと言えるでしょう。
ただし、このデータは「保育園の北側敷地境界地点での測定」となっておりますので保育園から発生する音の一番大きな数値になるはずです。
実際に周辺のマンションにおいての騒音被害としては、「上記データの地点から実際のマンションまでの距離が離れていることによる音の減衰」と「マンション側の工夫」(窓を閉める・窓を防音仕様にする・カーテンを防音カーテンにする)などによって減少するとも言えますが、最大で85dBの騒音が発生していることは騒音はどうしても発生していると言えるでしょう。
「結論:保育園の園庭で園児が遊んでいた場合、最大でゲームセンター店内レベルの騒音が発生する」
(2)保育園が近くにできたことによって、資産価値が減るのか?
では、続いて保育園が近くにできたことによって、資産価値が減るのか?という点を見てみましょう。
せっかくですので、上記で引用した神戸市東灘区にほど近い、灘区の例を挙げてみます。
灘区に平成27年4月に開園した「京進のほいくえん HOPPA灘園 (小規模認可保育園)」周辺の路線価を見てみましょう。
場所は都通2丁目となっています。
では、まず平成26年の路線価が以下となります。
この東隣の道路には「155」と記載されています。
これは1㎡当たり155,000円の路線価ですよ。ということを表しています。
次にこの保育園ができた平成27年の路線価を見てみましょう。
先ほどと同じ東隣の道路には「165」と記載されています。
これは1㎡当たり165,000円の路線価ですよ。ということを表していますので保育園が開園となることによって逆に地価が上がっていることがわかります。
これによって「保育園が開園すると地価は下がるのではなく、上がるのだ!」と結論づけると他の要因を無視してしまいます。
実際に、「路線価と実際の取引相場にどこまで影響があるのか?」という点や「平成26年と平成27年では全体的にも地価が上がっている」ということも考えると保育園の開園によって地価が上がるとは断言できません。
しかし、逆に保育園の開園によって地価が下がるとも言い切れません。
というのも、保育園は無関係の者には「騒音を発生する厄介な場所」でありますが、子育て世帯には「なくてはならない施設」ですので、子育て世帯にとっては、保育園が近くにあることはメリットとなります。
つまり、場所によっては下がる可能性はあるものの逆に子供を育てる世帯からは人気が出る可能性もあり、資産価値が上がる可能性もあります。
「結論:保育園が近くにできたからといって、資産価値が下がるとは断定できない」
と言えるでしょう。
最後に
保育園の騒音問題は難しく、簡単には解決しない問題だと言えるでしょう。
ただ、このような問題についても、しっかりと情報を調べることが重要といえるでしょう。
中には、保育園できることによって騒音が「常にパチンコ屋レベルの騒音が続く」と過大に行っているサイトなどもあります。
今回、調べたように「園児が園庭で遊んでいる時には70dB程度だが、最大値で85dB程度」と考えるようにしたいものです。
また、この騒音の計測地点も保育園の境界線ギリギリですので、減衰なども考慮して「実際にどの程度の騒音になるのか?」を冷静に判断・分析を行うことが大事だといえるでしょう。