【検証】工場が近いマンションって実際どうなの?【周辺施設シリーズ】

【検証】工場が近いマンションって実際どうなの?【周辺施設シリーズ】

本サイトの人気シリーズの一つである「周辺施設シリーズ

マンションの近くにある施設やマンションの近くの環境を取り上げ、徹底的にメリットとデメリットを分析するコーナーがこの「周辺施設シリーズ」です。

そんなシリーズも今回取り上げる「工場」で第11弾となります。

「工場」が近くにある場所は決して人気のエリアとは言えないケースが多くあります。

ただし、その分価格が安く魅力があるとも言えるため、「工場」の影響具合によっては検討してみたいと思われる人も多いのではないでしょうか。

今回はそんな「工場」の様子を解説します。

また、今までの周辺施設が気になる方はこちらのリンク「周辺施設シリーズ」からぜひご覧くださいませ。

工場にも種類が色々ある。

まず、工場が近いことによるマンションへの影響を考える前に、工場にも色々な種類があるということを押さえておきましょう。

種類と言っても、作っているものの種類というよりは周辺にどのような影響を与えるのかによって、大きく3パターンに分けることができると言えます。これらを全て同じ「工場」と表現することによって誤解が生じてしまう可能性が高いため注意が必要です。

また、それぞれ用途地域ごとに「住居地域」「準工業地域」「工業地域」と分かれていますので、合わせて本サイトの「用途地域とは -用語集-」もチェックしてみるとさらに、理解できるでしょう。

 

<パターン1:住居地域内にもある小規模な工場>

小さなお店で売るための小規模な工場(パン屋・豆腐屋、菓子屋等)

<パターン2:「準工業地域」にある影響の少ない工場>

環境悪化の恐れが少ない比較的、小規模な工場を設置できる場所

<パターン3:「工業地域」にある工場>

危険物の貯蔵・処理もでき、あらゆる工場を設置できる場所

 

本記事では、上記3つのパターンに分けてそれぞれの地域を分析していきましょう。

「住居地域内」にも小規模な工場はある

今回「工場」として取り上げますが、実は「準工業地域」「工業地域」以外の比較的住居が優先されると考えられている「各住居地域」にも小さな工場が建てられる場合があります。

それが上述したパターン1の小規模な工場です。具体的にはパン屋・ケーキ屋・豆腐屋などの小規模な住宅兼店舗兼工場と呼べる場所です。

パン屋・ケーキ屋など小規模な店舗兼工場

パン屋・ケーキ屋など小規模な店舗兼工場

例えば、実際に住居と兼用となっており、非住宅部分の床面積が50m²以下かつ延べ面積の1/2未満。さらに店舗部は2階以下で作業場は50m²以下と厳しい条件ではありますが、厳しいと言われている「第二種低層住居専用地域」でも「工場」はあります。

とは言っても、実際に「作業場が50m²以下」であれば、「工場」と呼ぶよりも「調理場」と呼ぶべき広さですので周辺の影響は大きくありません。イメージとしては上述のような「パン屋・ケーキ屋・豆腐屋などの小規模な住居兼店舗兼工場」となります。

そして、このような小規模な店舗や工場などの場合には、ほとんど周囲への影響はないと言っても過言ではないでしょう。

ただし、意外と気をつけないといけないのは、パン屋・ケーキ屋などの場合、マンションにあまりに近く隣り合っているような場合にはその製造においての匂いが低層階には流れてくるという可能性はあるでしょう。

実際に記者が体験したケースで言うと、人気のケーキ屋の近くのマンションの現地を訪れた際には美味しそうなクッキーの匂いが周囲に漂っていたケースがありました。ちょうど焼いている途中だったのでしょう。

しかし、後日、訪れた際にはそこまで匂いはしなかったので、常日頃ずっと匂いがあるという訳ではないようでした。

これは想定ですが、大規模な製菓工場などであれば常に焼き続けるということもあるのでしょうが、小規模な工場で直販売目的であればクッキーを焼いている時間も限られますので、匂いが発生するタイミングも限られてくるのでしょう。

また、マンションの場合は共用部分もありますので、近くのケーキ屋の匂いがマンションの個別の部屋まで入るにはマンションの部屋や換気口がケーキ屋の方面を向いていないといけませんので、可能性的には少ないと言えるでしょう。

これらの点から、住宅街の中にある小規模な工場の場合には大きな影響がないと言えます。

環境悪化の恐れが少ない工場(準工業地域)の場合

ここからがある意味、本当の意味で「工場」と言える場所なのが「準工業地域」の工場です。

「準工業地域」で制限のない工場は複雑なので、この記事では「環境悪化の恐れが少ない」工場と定義します。

実際に住むマンションが「準工業地域」なのか「工業地域」なのかはパンフレットなどにも記載されており簡単にチェックできますので、チェックするように心がけてください。

そして、当サイトでは準工業地域をこのように考えます。「準工業地域」は場所によって、環境が様々で一概には言えない。

というのも、「準工業地域」は環境悪化の恐れが少ない工場を建てられる場所なだけであり、住宅や商業施設が作れない場所ではないためです。

ですので、昔は小さな町工場が多かった地域であってもマンションや大型スーパーが一気にできることによってほぼ住宅地や商業地とあまり変わらなくなった場所というケースもあるのです。

このような場合だと、あまり工場も多くはないため、上述したパターン1とあまり変わらないケースにもなります。

また、一般的に言われる「下町」と呼ばれる地域も上述のようなケースもありますので、単に用途地域だけで判断をせずに、それぞれの場所で判断を最初にしましょう。

ポイント:単に「準工業地域」で判断をせずに実際に目で見て工場が多いかを判断する。

実際に、工場があまり多くはない土地であればそこまで心配は必要ないと判断します。

以下の画像はイメージですが、このような街並みであればそこまで心配はないでしょう。

 

住居が中心の準工業地帯(イメージ)

住居が中心の準工業地域(イメージ)

通常の住宅地やパターン1と同じくらいの影響と考えて良いと言えるでしょう。

もちろん、用途地域としては今は普通の家が並んでいても「将来、工場ができるかもしれない」というリスクは準工業地域にはあります。

しかし、現実問題として現在住居が多い土地に新たに工場を建てるケースはほぼありません。

というのも、現在、地方に工場を誘致するスペースはいくらでもある上、近年の工場はオートメーション化されており、規模の小さい工場だと効率化が大きく劣ってしまうので、小さい工場を新たに作るメリットがあまりないのです。また、地方自治体では「モノづくり推進地域」を定めてその場所に工場の誘致を積極的に進めているケースが非常に多いのです。(参考:東大阪市「立地促進補助金制度」

また、すでに住民がある程度住んでいる場所であれば、地価も高くなっているケースもあり、反対運動が起きるリスクもある場所に敢えて工場を建てるメリットがないのです。

 

一方で、実際に目で見て判断して「工場が多いな。」と思われた場合、注意が必要と言えるでしょう。

こちらも合わせてイメージとなりますが、以下のような街並みと言えます。

工場が多い準工業地帯(イメージ)

工場が多い準工業地域(イメージ)

このような場合には、しっかりと注意して欲しいのですが、具体的にどのように注意すれば良いのか?というと以下のようになります。

ポイント:目で見て工場が多い場合には、絶対に平日の昼間に様子を見るべき。

まず、大事なことを始めにお伝えをすると工場が多い場所は平日と休日とでは全く様子が異なります

例えば平日であれば実際に工場も稼働しているでしょう。それだけでなくトラックの出入りもあるかもしれません。

チェックをすべき点は匂いや騒音など色々とありますが、結局のところ、その環境で問題がないと思えるかどうかでしょう。

 

また、「住宅街が中心の準工業地域」と「工場が多い準工業地域」のどちらの準工業地域にも言えますが、用途地域が「準工業地域」となるだけで周辺の土地よりも安くなる場合がほとんどです。

もちろん、「住宅街が中心の準工業地域」の場合には「工場が多い準工業地域」よりもそこまで安くはなっていませんが、周辺の住居地域と比べると安くなっています。

これはつまり資産価値的には残念ですが期待できない=劣ると考えるべきでしょう。

もちろん、ゼロになってしまうわけではありませんが、明確に周辺の居地域と比べると価値は低いです。

ただ、これは購入時点の金額も安くなっているはずですので、ある意味で将来売却などを考えず、長期にわたって住むのであれば環境さえ問題がなければ「住宅街が中心の準工業地域」はお買い得案件とも言えるでしょう。

当初支払う金額も安く済むだけでなく、固定資産税などの税金も安くなるというのが最大の魅力でしょう。

「工業地域」にある場合

工業地域の場合は、ほとんどの地区において上述した「工場が多い準工業地域」のようなケースが多いようです。

しかし、近年では大型の工場が撤退・閉鎖となりその跡地がマンションや大型の商業施設となった場合「工業地域」でありながらも、そんな印象を受けない街というのがあります。

関西では具体的に挙げると「「プラウドシティ塚口」マークフォレスト」や「シティテラス神崎川駅前」などは工業地域ではありますが、周辺の街ごと再開発を行っているため、一度現地を訪れただけでは「工業地域?」と思ってしまうくらいの場所になっています。

このような場合もあるため、「工業地域」でも先ほどの準工業地域と同じように2つのパターンに分けた方が良いでしょう。

具体的には以下の2つのパターンに分けられます。

パターン1:大規模な再開発などによって工場がなくなったor少なくなった工業地域

パターン2:依然として工業が多い地域

 

パターン1の「大規模な再開発などによって工場がなくなったor少なくなった工業地域」というのは先ほど挙げた「「プラウドシティ塚口」マークフォレスト」や「シティテラス神崎川駅前」などになります。

このような地域の特徴としては元々が大規模な工場などであるためマンションの戸数自体も非常に多いという特徴があります。

さらに、元々が工業地域ということもあり、場所として不人気ケースが多くあります。

ただ、街ごとの再開発になるため将来的に人気が出てくるかもしれませんので、もし人気が出ればお買い得物件とも言えるでしょう。

もちろん、将来的に人気が出ないマンションも沢山あると言えますが…

パターン2の「依然として工業が多い地域」というのは今も近くに工場が多い土地となっており、昼間に現地を訪れてみると大型のトラックなどが行き交っており、かなり特殊な印象を抱かれるでしょう。

現時点(2016年4月)ではこのような場所にマンションはあまり無いようですが、戸建てだと「ハピアガーデン四季のまち」が当てはまるでしょう。

特に「ハピアガーデン四季のまち」の場合は近くに「工業専用地域」という唯一、住宅を置くことができない場所が隣接していることもあり、工業団地・工業地という雰囲気と言えるでしょう。

依然として工業が多い地域(イメージ)

依然として工業が多い地域(イメージ)

このような場所だと、かなり人を選んでしまう場所と言えます。

大型のトラックが往来しており、大型の工場が集まっているような場所ですので、あまり好まれることはありません。

しかし、その分価格的には他の土地と比べても1000万円以上安くなっていることもあるくらい激安な場所と言えるのです。

正直なところ誰にでもお勧めできる場所ではありませんが、その分、価格にも反映されており非常に安くなっています。

最後に

この記事では色々なパターンの工場の様子を確認しました。

結局のところ、最終的には読者の方それぞれが許容できるかどうか。という点にかかっていますので、ぜひとも平日の日中に現地周辺を訪れてみることをお勧めしています。

また、最後にマンション探偵としての工場が近いことによる影響について独自の見解をお伝えをさせていただきます。

<パターン2:「準工業地域」にある影響の少ない工場>や<パターン3:「工業地域」にある工場>などは価格面で安いというメリットを除くと、基本的にはあまり良い場所ではなく、その分を減点評価として考えています。

というのも、まずこのような用途地域については、歴史的な経緯があります。

つまり、「準工業地域」や「工業地域」は今が住宅街であっても歴史的に見れば周辺は工場が多い場所であったと言えるのです。

そして、そのような周辺はやはり人気が低く、土地の価格も安くなりますので、周辺に住む人もお金があまりない人たちが住みますので、全員が全員悪い人では当然ありませんが、一般的に治安の水準があまり良くないと考えるためです。

そして、マンションの周辺など再開発している場所は新しい住民の人たちが住みますが、再開発エリアではない隣接した昔からの住宅などは変わらず現存しているため、その点を考慮すると昔からの住宅街と比べると減点評価をすると考えます。

もちろん、価格面のメリットは当然ありますので、上記の点の減点評価と価格面での加点評価を総合的に踏まえて、個別のマンションを評価するように考えています。

「工業地域」だけど全然大丈夫と根拠なく考えるのではなく、悪いところは悪いと考え、その分、価格面でメリットがあると割り切って考えていくことがマンション選びにおいて重要と言えるでしょう。

マンションには100点満点のマンションは無いものだ。と考えて、良いところと悪いところの双方をしっかりと比較するように心掛けてください。