【徹底検証】低層マンションのメリットとデメリットを比較
近年、大規模なタワーマンションや戸数の大きな複数棟のビックプロジェクトが多く建てられる中で、俄かに階層が低い「低層マンション」も人気が出てきています。
また、地域的に高層マンションが立てにくい・立てられない場所(神戸の阪急沿線や北野周辺など)も数が多く、低層マンションにはタワーマンションにない独自の魅力があります。ここではそんな低層マンションの魅力をご紹介するだけでなく、逆に気をつけておきたいデメリットも合わせて紹介します。
魅力1:静かで良好な住環境
基本的に低層マンションを建築する際には”大きなタワーマンションが建てられない場所”であることが一般的です。
このようにそれぞれの場所では、どのような建物を建てても良いのか法律で決まっており、その地域を「用途地域」と言います。詳しくはこちらから「用途地域(マンション探偵)」のページをご覧ください。
そして、このような低層マンションしか建てらない場所は、お店などの出店も厳しく制限されています。例えば、パチンコ屋や大規模な商店などは建てられない決まりになっているため、静かで良好な住環境が望めます。さらに、周りに高い建物が建てられないことから、日照条件や自然環境も商業地と比べると非常によくなります。
また、用途制限はこれからも続くため、長期にわたって静かで良好な住環境が守られる。という点がメリットとなります。
例えば、タワーマンションの場合、購入時点では周辺の環境に問題がなくても、購入後に将来隣にパチンコ屋ができるという可能性もあるのです。
そういった観点を踏まえると良好な住環境を目的に住居選びをされたい方にはぴったりな選択肢となります。
魅力2:エレベーター待ちが起こりにくい。
最近だと、タワーマンションでもエレベーターが効率的に運用できたり、台数を多く設置しているマンションも増えているため、エレベーター待ちをするマンションは減ってきているようです。
しかし、どうしても朝の通勤ラッシュなどの場合、利用する人が混み合ってしまうためタワーマンションだと時間がかかってしまう場合もあります。
一方で低層マンションの場合、そもそも階数が4階や5階の場合がほとんどです。そのため少ない戸数でエレベーターを利用できるため、朝のラッシュ時においても快適に通勤ができるのです。
魅力3:土地の持分が相対的に多い(=相続税対策には不向き)
一般的にマンションの土地の価値については、マンションの住民間で土地の価値を按分してそれぞれの計算を行います。
具体的には、敷地全体の面積をそれぞれの専有面積割合で按分して計算を行います。つまり、同じ敷地面積が1,000㎡の場合で、すべての住戸が同じ広さの専有面積だったとして総戸数20戸の5階建マンションと総戸数40戸の10階建マンションだと、単純に土地の持分に2倍の差がついてしまうのです。
しかし、注意をしないといけないのは、土地の持分に2倍の差がついてしまうということは逆に低層マンションの方が評価がされやすいため、相続税の対策には不向きとも言えるのです。この点の詳しい内容は以下のデメリットの方に記載します。
デメリット1:相続税対策には不向き
先ほどの魅力に挙げた”土地の持分が相対的に多い”にも記載をしていますが、”相続税対策には不向き”について、解説しましょう。
そもそも、相続税対策に向いているマンションというのは「国に取られる税金よりも価値(売却した時の金額)が高いマンション」が相続税対策に有利と言えます。
これはどう言うことなのかと解説をすると、タワーマンションの場合税金の計算の観点では「1戸当たりの土地の面積」が小さいため、低層マンションよりも価値が低いと計算されるのです。
例えば、マンションを解体して更地にした場合、土地を住民全員で土地を分け合うため、階数が多いタワーマンションの方が「1戸当たりの土地の面積」が小さくなってしまうのです。
そのため、税金の計算の観点では土地の面積における価値が低いため、相続税が安めに計算されます。
しかし、実際の取引相場においては、上記のような「1戸当たりの土地の面積」を気にしてマンションを購入する人はいないため、タワーマンションであっても人気は変わりません。
そのため、「相続税を計算した上での税金は安くなるが実際に売却した時には価値が高い」ため相続税対策に有利であると言えるのです。
一方で、低層マンションの場合は、上記のようなことがありませんので、相続税対策に有利であるとは言えません。
ただ、ここで注意が必要な点としては「相続税対策に不利」な訳ではありません。
ですので、今は相続のことを考えていないけれども、将来相続するかもしれない。という人が購入を戸惑うほどのデメリットではありません。
デメリット2:豪華な共用部分はほぼない
一般的な低層マンションの場合、豪華な共用部分はほとんどありません。
エントランスに入るとすぐに郵便受けやエレベーターというのが、一般的な低層マンションです。
そもそもの敷地面積からあまり広くはないことと、豪華な共用部分にしてしまった場合、その共用部分の費用を少ない戸数の住民間で按分して負担をしなければならないため、1戸当たりの負担がタワーマンションと比べて大きくなってしまいます。
そのため、どうしても豪華な共用部分はほとんどなく、必要最低限の設備があるだけ。というのが低層マンションの特徴と言えます。
デメリット3:万が一、売却する時・賃貸する時に価格がつきにくいかも?
これは、大前提として人気のエリアであれば、一切問題ありません。
例えば神戸の阪急沿線や北野などのエリアは人気が高く、価値も維持されているのでこのデメリットは当てはまりません。
タワーマンションのような駅から近く、共用設備も豪華なマンションであれば、売却や賃貸の時でも価格がつきやすいのですが、あまり人気ではないエリアや郊外の低層マンションの場合、そもそもニーズも少ないため、売却する時・賃貸する時に価格がつきにくくなります。
実際に、そう言ったマンションは少ないながらも結構あります。
大規模な用地は大手のデベロッパーが抑えられているので、中小のデベロッパーの場合、どうしても小規模な大手があまりやりたがらない敷地で開発を行うことがしばしばあります。
当然、ニーズの調査も行い、全くニーズのないところには開発しませんが、一方で完璧な立地というのも少なく、マンションデベロッパーはマンションを開発しないと売り上げが上がらないため、そう言ったマンションが開発されることもあります。
これらの点を踏まえて、しっかりと検討すれば、低層マンションはかなり良い選択肢と言えます。
特に住環境を重視するファミリーやDINKS世帯はぜひ検討してみてください。