「一戸建ては管理費、修繕積立金がないからお得」にだまされてはいけない。

「一戸建ては管理費、修繕積立金がないからお得」にだまされてはいけない。

すでに、マンションや一戸建てを購入しようと色々調べている人にとっては、当たり前のことかもしれません。

しかし、意外と「マンションVS一戸建て お得なのはどっちだ!?」という議論の中で割と出てくるのが「一戸建ては管理費、修繕積立金がないからお得」というフレーズ。

まずは、果たして本当に一戸建ては管理費や修繕積立金がないからお得なのか、という点に迫ります。

そして、管理費がどのように使われているのかや修繕積立金の思わぬ落とし穴についても解説をしていきます。

(本記事については、これからマンションや戸建てを調べてみるという人向けの記事となっています)

 

管理費が掛からないからお得というのは一理ある

まず、早速、題名と真逆のことを言っていますが「管理費が掛からないからお得というのは一理ある」という点。

これは、結局のところ、管理費は毎月消えていっているお金ということになります。

毎月、マンションの住民が快適に過ごせたり、安心に過ごせたりする代わりに支払っているのが管理費です。

具体的にどのような名目に管理費は支払われているのか、一部を見てみてましょう

  • エレベーターの保守・メンテナンス費
  • 清掃員・コンシェルジュの人件費
  • 共用部分の電気代
  • 共用部分の消耗品費
  • 共用部分のセキュリティ料

などが当てはまります。

一戸建ての場合、これらのメリットを享受できない代わりに管理費もかからないわけですから、ある意味でこのようなメリットに対して魅力を感じない場合、無駄なお金がかかっていないことになりますから、お得とも言えるでしょう。

 

マンションは安い管理費が得られるメリットが大きい

一方で上記で挙げた管理費の内訳ですが、同じものを戸建てで得ようと考えると、非常に大きなコストがかかってしまいます。

例えば、ホームセキュリティだけでも戸建ての場合、毎月5900円(税別・セコムレンタルプラン)掛かってしまいます。

コンシェルジュや清掃員などは戸建てでは、とてもではありませんがマンションで支払う1万円程度の管理費で賄うことは不可能です。

つまり「得られるメリットを鑑みると、管理費はコストパフォーマンスが良い」とも言えるのです。

 

修繕費は一戸建てでも発生する

しかし、一方で修繕費は一戸建てでも必ず発生します。

マンションの方は勝手に毎月積み立ててくれますが、戸建ての場合では結局自分たちで積み立てなければならないだけで、ある程度期間が経過すればまとまったお金が必要になることには変わりはありません。

目安として、一戸建てにおいて30年間で発生すると見込まれる修繕費が以下の通りです。

外壁塗装 200万円
屋根の修繕 100万円
軒先・軒裏塗装 60万円
床下メンテナンス 60万円
シロアリ防除 120万円
クロス張替 60万円
サッシ 90万円
合計 690万円

(引用:日本FP協会くらしとお金のワークブック~FPと考える生活設計~

もちろん、一戸建ての種類などによっても大きく異なると考えられますが、30年間で690万円となります。

単純に月単位にすると一ヶ月あたり19,166円程度となり、マンションの修繕積立金とほとんど変わらない金額となっています。

 

マンションの修繕積立金は徐々に上がっていく

マンションの修繕積立金は徐々に上がっていく「段階増額積立方式」と呼ばれる形式のものが多くあります。

これは、マンションを購入した当初の修繕積立金が8000円程度であるが、15年程度経過すると2万円近くまで上がっている形態を言います。以下のグラフでは青色の棒グラフになっているものが修繕積立金です。

段階増額積立方式(引用:国土交通省 マンションの修繕積立金に関するガイドライン)

段階増額積立方式(引用:国土交通省 マンションの修繕積立金に関するガイドライン

徐々に上がって行っていることがわかります。

特に将来の上がり幅については、マンションを購入する際には明記されておらず当初の修繕積立金しか明示されていないケースが多くありますので、しっかりと確認をしましょう。

 

最後に

いかがでしょうか。

マンションや戸建てを検討したばかりの方は意外と知らなかったことや気づかされたことなどがあったのではないでしょうか。

結局のところ、戸建ては管理費はかからないものの、マンションであればコストパフォーマンスの高いメリットを受けれらます。

どちらが得なのかはその人の考え方次第と言えるでしょう。

一方でどちらの場合でも修繕にかかる費用は必ずかかるものだと認識をしてください。

特に戸建ては毎月、強制的に積立金が発生するわけではないため、自分で修繕に関する費用を積み立てなければいけないと覚えましょう。