この「神戸の災害・ハザードマップ分析レポート」は神戸に起きる可能性のある災害がどのくらい影響があるのか、それぞれの災害ごとにどのエリアに被害が大きいのかを分析したレポートとなっています。
またこのレポートは「神戸に住もうとしている人へのアドバイス【2016年保存版】」という記事で紹介している4つのレポートのうちの1つ目のレポートとなっています。
検索エンジンやリンクなどで最初にこの記事へ訪れた方はこの「神戸に住もうとしている人へのアドバイス【2016年保存版】」の記事も参考にしてみてください。
神戸に住もうか検討している人にとっては非常に参考になるはずです。
では、早速神戸の災害・ハザードマップの分析レポートをご覧ください。
災害の種類
このレポートでは以下の4つの災害に関して詳しくレポートをしていきます。
1:地震
2:津波
3:洪水
4:土砂災害
それぞれ、実際に神戸市内で発生する可能性があり、大規模な災害の場合には大きな被害が想定されうる災害となっています。
それでは、早速、それぞれの災害の被害の想定をチェックしていきましょう。
神戸における地震災害の被害について
神戸で想定される地震の種類については幾つかありますが、最も有名で規模の¥大きなものは「南海トラフ地震」と言えるでしょう。
メディアなどによっては「南海地震」とも呼ばれ、呼称は異なりますが何度もTVなどでも特集されているので、耳にされた方は多いのではないでしょうか?
ただ、多くの人が「名古屋とか静岡の中部エリアの地震で関西(神戸)は関係ないんじゃないの?」と思っていたかもしれません。
実は南海トラフ地震では神戸でも最大で震度6強が想定されており、決して人ごととは言えないのです。
さらには、神戸で起こりうる地震は「南海トラフ地震」だけではありません。
国の研究機関である「国立防災科学技術研究所」によると以下の地図のように神戸市の市街地全域においてある程度の地震が起きる可能性が予測されているのです。
この地図では濃い赤色になるにつれ、震度6強以上の地震が起きる可能性が高くなることを示しています。
また、具体的な震源地と神戸の揺れの詳細については以下のように分析されています。
震源地 | 揺れの詳細 |
山崎断層(兵庫県) | 東西の断層全体が活動するとM7クラスの地震が想定され、北区や西区での被害が想定されている。 |
有馬高槻構造線(兵庫県) | 六甲山の北部に被害の集中が予測される。 |
中央構造線 | 構造線のどの部分が活動するかによるが、何れにしても大きな被害予測され、また津波の発生も考えられる。 |
花折断層(京都府) | 震源域が京都府になることから軽微な被害が予想される。 |
大阪湾(大阪府) | 震源域にもよるが直近の地震となることから大きな被害と津波の発生が予想される。 |
六甲断層系(兵庫県) | 1995年兵庫県南部地震と同程度な揺れが予想される。 |
南海道・東南海地震 | 震度5程度の揺れが予想され、構造物の被害とともに、津波は要注意である。 |
(出展:神戸市「神戸市における今後の災害想定」より)
ちなみに、ここでは神戸だけの地震の可能性を調べましたが「他の地域と比べたら高いのだろうか?」と心配になった方も多いのではないでしょうか?
そこで、以下に神戸を含む京阪神間の地震の可能性の想定マップも以下の通りとなっています。
先ほどの地図と同じく赤色が濃くなればなるほど地震の発生の可能性が高くなることを示しています。
この地図でわかるように神戸だけが他の地域よりも高いというわけでもなく、逆に一度大きな地震が起きた神戸が他の地域と比べて地震が起きる可能性が低いわけでもないことがわかります。
独自研究:神戸で次に地震が起きた時の被害
ここまでは、神戸で地震が起きる可能性について分析してきました。
色々な文献をまとめてみても、神戸で地震が起きる可能性があることは理解していただけたのではないでしょうか?
では次に、「万が一、神戸で地震が起きた際にどのような被害があるのか?」を分析していきましょう。
実際の地震では地震の起きる時間(深夜早朝なのか日中なのか)揺れ方や揺れている時間などによっても大きく被害の内容が変わりますので、このレポートでは一つの参考として御考え下さい。
では、まず阪神淡路大震災による死因を見ていきます。死因を知る理由は神戸で同じような地震が起きた場合、過去の阪神淡路大震災での死因と同じ原因で亡くなる人がどのくらいいるのか、を想定することによって被害の影響を把握することができるためです。
死因のなんと77%が「窒息・圧死」となっており、9%が「焼死」となっています。
このような死因となった理由として考えられるのは、1点目は甚大な被害を受けた場所が「木造」の「古い建物」が多かったため、倒壊・火災が多かったことが挙げられます。
特に大きな点となるのは1981年(昭和56年)に建築基準法が変わり、耐震基準が『震度6強以上の地震で倒れない住宅』へと変わった点があります。
しかし、1981年(昭和56年)以前の基準(旧耐震基準)で建築されたすでに建っている建物が違法になるわけではなく、新たに建築される建物だけが対象となったのです。
そのため、当時の阪神淡路大震災ではその旧耐震基準で建築された建物が多数を占めており、多くの建物が倒壊し、その影響で火災も広がったと言えるでしょう。
実際に国土交通省による資料でも旧耐震基準による被害が甚大であることがわかります。
また、理由の2点目が当時の行政側に大規模な災害時に迅速な対応ができる体制ではなかった点が挙げられます。(当時の内閣総理大臣の村山は対応の遅れを指摘され「なにぶんにも初めてのことですので」と答えるほど杜撰でした。)
前の地震によって古い建物が少なくなった神戸
この2点が阪神淡路大震災が起きた1995年と比べると大きく改善してきているため、もし、万が一神戸で同じような地震があった場合、全体的な被害は大きく減少するのではないかと考えられます。
特に1点目の旧耐震基準については、阪神淡路大震災によって旧基準の建物の多くが建て替えられており、神戸全体の耐震基準という意味では非常に高くなっていると考えられます。
そのため、全く同じような地震だった場合には大きく被害は減少するはずですが、地震が起きた「時刻」に注意が必要といえそうです。
阪神淡路大震災では冬の早朝5時46分に発生しており、多くの人はまだ就寝中で家の中にいたこともあり、被害がこれでも軽減されていると考えられます。
そのため、万が一日中に大規模な震災が起きた場合には、大きな被害が想定される可能性はありますが、上述した通り、旧耐震基準の建物の絶対数が少ないことから、他の地域と比べると神戸は被害が少なくなり得る地域であると想定されます。
では、次のページでは神戸における津波の被害についてチェックしていきましょう。